著者対談(3)『「最高の人材」が入社する 採用の絶対ルール』(ナツメ社)

July 10, 2019

2019年3月に『「最高の人材」が入社する 採用の絶対ルール』(ナツメ社)が出版されました。同書の出版を記念し、共著者の釘崎清秀氏(株式会社パフ 代表取締役社長)と伊達洋駆氏(株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役)による対談を行いました。今回は対談の第3回となります(前回の記事はこちら:第1回第2回)。

 

 

社内に理解者を増やしていくために

 

伊達 エントリーシートや強引なフォローなど、「ここには時間をかけなくていいのでは」という提案もしています。時間を削減すべきところは削減し、かけるべきところにはかける。このことができないと、個に寄り添うことは難しいですからね。

 

釘崎 採用に苦戦する会社って、採用担当者の孤軍奮闘に終わっている場合が多いんですよね。会社の中に理解者をつくることができていない。それは、自社の採用リソースを増やすためにも必要なことなんですけど。採用がうまくいっている会社の場合、現場の社員たちが採用に理解があります。そのステージにどうすれば持っていけるか。『採用の絶対ルール』の中でも、具体的な方法について触れています。

 

伊達 結局、良い採用をしようとすると相応のリソースが必要になります。周囲を巻き込むためには、「何故このような施策を講じるのか」を論理的に説明できなければなりません。
 その意味で言えば、『採用の絶対ルール』は、その種の論理を丁寧に書いた本ですが、理想的には、この本のようなものを各社で書けると良いですね。つまり、自社なりの採用プロセス一つひとつについて、「世間では〇〇ということが常識といわれているが、自社ではそういうやり方をとらない。何故なら、△△の理由でこちらのほうが良いから」というような説明ができるようになると素晴らしい。
 もちろん、いきなりその水準に到達するのは大変です。そこで、この本を頼りにしながら、納得できるところは説明を借りて、自社なりの採用本を作っていくのが良いかなと思います。

 

 

全社を巻き込んだ採用で受け入れをスムーズに

 

伊達 採用に社員を巻き込まないとうまくいかないという点は、受け入れの問題にも絡んできます。『採用の絶対ルール』でも言及していますが、採用プロセスに関与する機会がないと、新人受け入れの際に当事者意識を持ちにくいわけです。

 

釘崎 うちが昔、コンサルした会社がありました。200名程度の会社で、上意下達の社風で、上が言うことには絶対服従みたいな雰囲気だったんですが、新しく就任した社長が「こんな組織風土じゃ駄目だ」ということで全社改革しようと。そこでまず着手したのが採用改革なんです。つまり採用を切り口にして全社を変えていこうということです。
私たちが呼ばれて社長はじめ経営陣とたくさん議論をしました。その中で出てきたのが「全員採用」です。現場の社員に手を挙げてもらって、手を挙げた人は全員採用プロジェクトに入ってもらうというもので、社長にその方針を打ち出してもらったんです。それで、全員に声をかけて手を挙げさせたらば、80人以上の手が挙がったんですよ。

 

伊達 200人ぐらいの会社で。

 

釘崎 すごい人数ですよね。「どうします?」と社長に言ったら、「もちろんやってもらいますよ」と。プロジェクトにおける役割決めは大変だったけれど、良いプロジェクトになりました。会社を変えていこうという社長の意気込みが全体に伝わっているのも大きかったろうし、現場の社員も、新しく入ってくる人たちに期待するものがあったんでしょうね。自分たちも採用に携われるんだ、自分たちの仲間を自分たちで探せるんだと。
 それで1年間やって、結果としても、良い採用ができました。今度は「どんな入社式にしましょうか」と相談されて、「これはもう全社員でクラッカーを鳴らすしかないでしょう」って冗談で言ったら、「そうですよね」となりました。実際に、入社式で全員がクラッカーを持って、パーンってやったらしいです。

 

伊達 200人全員が。大変な音量でしょうね(笑)

 

釘崎 そうそう。採用に全社員の2人に1人ぐらいは携わっていて、その人たちがみんな、新入社員が入ってくることに嬉しい気持ちを抱いているわけです。社員を巻き込むことによって採用もうまくいくし、組織活性化もうまくいく。

 

 

執筆しながら自社の採用を振り返る

 

伊達 採用本を書いて一番勉強になったのは、我々ではないかと思うんですよね。変な話ですが(笑)。「自社はここができてなかったな」など反省しながら執筆しました。

 

釘崎 本当ね。もう、胸が痛かったですね。

 

伊達 「書いているお前はどうなんだ」という問いが発生してくるわけです。

 

釘崎 本を書くには何気ないことも意識的に考えなきゃいけない。深く考えると、「うちの会社、こういうまずいことをやってたんだな」っていうのが分かるんですよね。

 

伊達 ただ、その意味で言えば、パフさんの採用のプロセスや考え方は練り上げられているなと改めて思いました。この本と整合性が取れない方法はとっていませんよね。

 

釘崎 うちの採用事例でいうと、これは誇らしいことなんですけど、いわゆる普通の人材会社に行かないような人材が集まってるというのがありますね。全くターゲットが違うというか。だから、採用の世界の常識にとらわれずに、自分たちの正しいと思うことをやり続けられるし、それをいろんな企業に適用しながら、それこそ当たり前を変えていくことができているんだろうと思います。

 

伊達 パフさんの場合、自己選抜を作動させるのが上手ですよね。合ってない人がたくさん来る事態を防げているため、個に寄り添いやすい。採用本で言うところの「求職者に遠慮してもらう」ということを実践されているのではないかなと。例えば、ウェブサイトやブログなど、媒体一つひとつがパフさんの風土や規範の表現になっていると思います。

 

 

採用のプロフェッショナルとしての矜持

 

釘崎 『採用の絶対ルール』の中のコラムで、服部先生(神戸大学大学院 准教授)と今野先生(学習院大学 名誉教授)と曽和さん(人材研究所 代表取締役)に書いていただいたじゃないですか。これは、すごくよかったなと思っています。

 

伊達 いいですよね。各者各様の色が出てますよね。

 

釘崎 順番もいいじゃないですか。今野先生がトップバッターで、真ん中に服部先生があって、最後に曽和さんの。

 

伊達 士は己を知る者のために死す、ですね。

 

釘崎 そう。「人は自分を大事にしてくれる人のために生きる」。原稿をもらった後に、ある会社にレクチャーをしに行く機会があったんですが、そのとき、この原稿を使わせていただきました。曽和さんっていう人が、こういう素晴らしいことを書いてますよと。

 

伊達 今野先生、服部先生、曽和さんと段々、コラムがエモーショナルになっていく構成も良いですね。

 

釘崎 服部先生は採用担当の「矜持」という言葉を使われています。矜持って、いい言葉だと思うんですよね。
自分は、誰のため、何のため、何を誇りにして仕事をしているのか。採用担当が人の獲得のためだけに、その仕事をやっているのであれば矜持なんて持ちようがありません。採用という仕事がどれだけその人のため、会社のため、世の中のためになっているのか。そこまで考えが及んではじめて「矜持」という言葉が浮かんでくるものです。採用本の読者の皆さんには矜持を持ってほしいと思います。

 

伊達 この本、本当に「あとがき」が非常に長いんですが(笑)、その中で、採用本を、「プロフェッショナル」の仕事として採用を行うための一つのきっかけにしてほしいと書いています。
服部先生の矜持の話もそうですし、曽和さんの「士」の話もそうですし、今野先生の雇用管理全体を踏まえた話もそうですが、高い視座と実践性を兼ね備えた「専門家としての採用担当者」という地平が開けるといいなと思います。そのために、採用本が少しでも貢献できると嬉しい限りです。

 


(了)

 

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